友情航海

〜追いつけないメリーゴーランドあるいは雨降りのローラーコースター〜

接客マニュアル

いらっしゃいませ。お客様何名様ですか?おタバコはお吸いになられますか?ご注文はお決まりですか?アレルギーはありませんか?財布の中身を見せてもらえませんか?付き合ってる人はいますか?休みの日は何をしてるんですか?子供とか好きですか?生きたコウモリを見たことはありますか?幼い頃両親との間に軋轢はありましたか?最後に人を殴ったのはいつですか?死刑制度についてどう思いますか?地底人の存在を信じますか? 家までついていっていいですか?日本って終わるんですか?「赤」と「光」、どちらが強いと思いますか?何か言いたいことはありますか?ではこちらの席へどうぞ。

 

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こちらメニューとお冷になります。こちらのお水ですが、一リットル30円の業務用飲料水を使用しています。100リットルまでがこの値段で、それ以降は1リットルにつき15円です。さあ、ただの水道水なんじゃないですかね。同じ水道水でも、直に蛇口から注いだらいけないけど、一度他の容器を介せばOKというわけですね。ま、どこもそんな感じですよ、きっと。

本日の日替わりランチは6番になっております。7番でも3番でも4番でもないので、お間違えのないように。ご注文がお決まりになりましたらボタンでお知らせください。私が来るとは限りませんが、まあ他の連中も、なかなかいいやつらですから。きっと気に入っていただけると思いますよ。

 

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お待たせいたしました、ご注文をお伺いします。ええ、またお会いしましたね。たまたま他の子がみんな出払っちゃってて。決してあなたのオーダーを取るのが嫌だからとか、そんなことはございませんからご安心ください。

で、ご注文は…はい、はい……こちら、パンとライスはどちらになさいますか? …はい、かしこまりました。サラダのドレッシングはこちらから選べますが…はい、サウザンドレッシングですね。サウザンドレッシング。非常に賢明な判断だと思いますよ、サウザンドレッシング。サウザンドレッシング! それではご注文を繰り返します。和風おろしハンバーグのBセットがお一つ、ライスとサウザンドレッシングのサラダでよろしいでしょうか? …はい、かしこまりました。

セットのドリンクバーはあちらからご自由にお使いください。あ、ご自由にと言っても、節度というものがありますからね。あんまり非常識なことをされても困ってしまいますから。いや、というのも、二週間ぐらい前ですかね、気狂いか何かわかりませんけど、あのドリンクバーのとこで髪の毛を洗い始めちゃったやつがいたんですよ! 信じられないでしょう? それもコーラで、ですよ? 百歩譲ってお茶なら、まあわかりますよ。私がもしドリンクバーで洗髪をしなきゃならないって状況になったら、お茶を選びますから。でもやつはよりによってコーラを選んだんです。二重に狂ってますよね。

で、いきなりコーラなんてぶっかけられたもんだから、そいつの頭皮もびっくりしたんでしょうね。数日後につるっぱげになっちゃったんですって。しかもその件でわざわざうちにクレームの電話をかけてきて。「おいっ!つんつるてんになっちまったじゃねえかっ!」って言うんです。まったくいい根性してますよ。その時は私が電話に出ましたから、こう言ってやりましたよ。「お客様、大変申し訳ございません。メロンソーダならそんなことにはならなかったでしょうに」ってね! それでは少々お待ちください。

 

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 失礼いたします、こちらお先にセットのサラダになります。お望み通りサウザンドレッシングをかけてきましたよ。はい、肉はまだです。さっきようやく牛にとどめを刺したのでね……こういうのってどうですか? 面白いですか? やっぱり私お笑い芸人になった方がいいですかね?

 

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お待たせいたしました、和風おろしハンバーグとライスでございます。鉄板が大変熱くなっておりますのでご注意ください。ええ、あなたに言ったんです。私らは、すべての客に鉄板が大変熱くなっておりますのでご注意くださいと言わなくちゃならない。どんなに火傷してほしいやつにもね。いや、あなたがそうだというわけではないですよ。だからあなたに鉄板が大変熱くなっておりますのでご注意くださいと言うのは、嫌じゃないんです。でも、そうではない相手もいる。そういう連中にも鉄板が大変熱くなっておりますのでご注意くださいと言わなきゃいけないのは、仕事とはいえ、つらいですね。ここの同僚はみんないいやつだし、時給も悪くない。まかないだってついてくる。だけど、鉄板が大変熱くなっておりますのでご注意くださいのせいで、何もかも嫌になる時があるんです。それこそ死にたくなる日もあります。そういう時、私は「鉄板が大変熱くなっております」とだけ言うんです。事実だけを伝えて、注意喚起はしないわけですね。いつもそうやって乗り切ってるんですよ、みんなもこういうことをやってると信じてね。ああ、長々と失礼しました。ご注文は以上でお揃いでしょうか? はい、それではごゆっくりお過ごしください。この言葉には裏はありませんよ。

 

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ありがとうございます、伝票失礼します。ポイントカードまたはクーポンはお持ちですか? お持ちではない? それではお会計が1239円になります。はい、では1500円お預かりします。261円のお返しになります。こちら、次回以降ご利用いただけるクーポンです。このクーポンを使えば、セットドリンクバーが無料になったり、フライドポテトが100円引きになったりして、とても楽しいですよ。ええ、こんなに楽しいことは他にないってくらい、本当に楽しいんです。だから次うちに来る時には、ぜったいに使ってくださいね。約束ですよ。

それじゃあ、まあ、ありがとうございました。またお越しくださいませ。

 

静物たち

土曜日の午後、私は娘を連れて静物園に行った。コインロッカーみたいな巨大な券売機でチケットを買うタイプの古き良き静物園だ。料金表にはこう書かれていた。一般六百円、中学生二百円、小学生以下のお子さま無料。二十名以上の団体さまは割引あり。娘は小学生以下のお子さまなので私たちは一人分の料金で入園することができた。

園内に入ると、決まったルートに沿って展示されている静物たちを見て回ることになる。私たちが普段見たり使ったりしている日用品としての静物たちが、今やその役割を失い、物々しいケージやガラスケースの中に閉じ込められているさまはなかなか見ものだった。しかし、貴族の寝室のような大層な装飾が施された空間に1.5リットルボトルのコカコーラがでんと置かれているのを見たときは、さすがにやりすぎだと思った。いや、やらなすぎ というべきか。もしもこの空間に置かれているのが辞書とかホーロー鍋とか、最低でも長靴あたりであったならそんな風には思わなかっただろう。1.5リットルのコカコーラには、そういった物たちにはない特別の異様さがあったのだ。娘は喉が渇いたと言い出す始末だった。

静物たちの中には私たちが日常目にすることのない、まさしく「静物」としか言いようのないものもあって、娘はそういうものの方を気に入ったようだった。彼女はトランペットをひっくり返したような形の静物にひときわ心を惹かれ、何十分もかけてあらゆる角度からそれを眺め回していた。もちろん娘は、子猫やしゃべる太陽が登場するクレイアニメなんかを見るような目でそれを見ていたわけではない。ケージの周りを六十周もすると娘はようやく気が済んだようで、私のところに戻ってきた。

娘の汗を拭きながら先に進むと、さらに奇妙なものが見えてきた。大きなガラス張りの部屋の中に、一組の男女が対面する形で座っている。二人とも見慣れない柄の麻服を着ていて、皮膚はやたらと黄色っぽい。たまに頭をかいたりするくらいで、彼らはほとんど動こうともしゃべろうともしない。

娘は不思議そうな面持ちで二人を眺めていた。どうして生きている人間がここに? という表情で。確かに彼らは生きていた。死んでいるわけではなかった。でも、それ以上に、静物的だというほかない存在だった。

彼らのことは娘がもっと大きくなってから説明すればいい。そう思って私は彼女の手を引き、その場から立ち去った。

あとはもう取りたてていうべき展示は何もなかった。出口近くにベンチと売店があったので私たちはそこで一休みすることにした。娘は先ほどのことからかコカコーラを飲みたがった。私はコーヒーを飲み、娘が残したコカコーラを飲んだ。少し腹も減っていたので売店でフランクフルトも買った。それすらも静物的な味わいだった。

こうして私たちの週末のひとときは過ぎていった。これで入園料六百円なら安いと思った。うちの近所にあるプラネタリウムの入場料も六百円だが、そこの星空ときたら、設備が老朽化しているうえ何十年間も同じプログラムを上映し続けているだけで、もはやうがい薬のCMか何かと同等の情緒しか持ち合わせていなかった。それに比べれば、いや、そんなものと比べるのは失礼な話だが、実に有意義な金と時間の使い方ではないか。

 

次の土曜日、私は娘にせがまれて再び静物園に行くことにした。ところが何か様子がおかしい。以前にはなかった活気と喧騒が園内に満ちあふれている。驚くべきことに、一週間のあいだに静物園は動物園に姿を変えていたのだった。チケットだって今は人間が手売りしている。一般八百円。娘は相変わらず無料で入園できたが、私が入園するためには以前より二百円多く支払わなければならなかった。

そうして入った動物園は、やはり動く物たちであふれかえっていた。彼らは値上がりしたチケット代二百円分のはたらきを全うしようといわんばかりに動き回っていた。暑苦しくてしょうがない。

娘はもう以前のように一つの展示を食い入るように見入ったりはしなかった。コカコーラも欲しがらない。無理もないことだ。私だってもうここでフランクフルトを食べようとは思わなかった。この動物園でフランクフルトなど買おうものなら、それは芋虫のようにのたうちまわり、地面を這ってどこかに行ってしまうだろう。

町のはずれに空き家があり、その隣に空き地が広がっている。空き地には空き缶や空き瓶が散乱している。そこから少し行くと市街地に出る。もぬけの殻となった空き物件や、空き部屋の多い集合住宅、空きテナントの多いビルばかりが目立つ市街地だ。飲食店やスーパーマーケットはあるが、人々は常に腹を空かせている。

 

この町では太陽の光が雲を破って差し込むことはない。一年を通して空は曇り、体にまとわりつくような湿気が町中に立ち込めている。にもかかわらず、人々は毎日外に洗濯物を干す。晴れることはないが、雨が降ることもないと知っているからだ。彼らの着るものはいつも少しだけ湿っていて、まるで幽霊みたいである。

 

この町の人々の血液型は、必ずA型かO型である。B型やAB型はいない。また、早生まれの人の数が極端に少ない。全くいないということはないが、やはり極端に少ないのだ。全員、足の人差し指が中指よりも長い。歩きながら話すことができない。幼い子供であっても野菜を嫌う者は一人もいない。修学旅行でどこに行ったのか、何をしたのか、現役の学生たちですら覚えていない。その他、いくつかの事柄において彼らには奇妙な共通点があるが、そのことに気付いている者はやはり一人もいない。

 

話を最初の空き家に戻す。この空き家には家具調度の類は何もないが、ただ一つ、一階から二階へ続く階段の踊り場に小さな箱が置かれている。しかしこの箱は空き箱ではない。中には恐竜のフィギュアが238個入っている。そのうちのいくつかには後頭部にボタンが付いていて、押すと「おいしくなってくれてありがとう」という音声が流れる。でもこの町の人々はこのことを知らない。このことを知っているのは私だけだ。

ドブスの思い出

忘れられないドブスがいる。彼女とは話したことも話そうとしたこともなかったが、それでもそのドブスは私の記憶に深く刻み込まれている。

 

高校生の時、誇張なしに友達が一人もいなかった私は授業時間以外は極力教室を離れ、図書室にいるよう心がけていた。図書室は優しい。どこにも居場所のない私のような生徒を黙って受け入れてくれた。暖房の調子が悪いのか冬場は室内がかなり冷え込んでいたが、それでもなお私には図書室が他の教室よりも暖かく感じられた。

図書館司書は50代くらいの禿げた男と、20代にも40代にも見えるのっぺりとした顔つきの女の二人組だった。男の方は生徒たちから「トトロ」という愛称で呼ばれていたが、私にはヒキガエルにしか見えなかった。女の方は特にあだ名の類はなかったようだが、強引にジブリキャラに例えるなら「千と千尋の神隠し」で油屋のある異界につながるトンネルの手前に立てられている石像に似ていた。そんなパッとしない司書コンビだったが、体育の授業をさぼってつげ義春全集などを読んでいた私を追い出すでもなく黙って見守ってくれていた。

 

図書室には基本的に私と同じように友達がいなさそうな連中が集まっていたが、中でも何曜日のどの時間帯に行っても必ずいるいわば「イツメン」が存在し、その一人がくだんのドブスの彼女だった。彼女は私より一学年上だったので図書室以外で会うことはなかったが、それでも友達がいないことは明白だった。そういう顔をしていた。私は友達がいないやつは数多く見てきたが、「顔を見ただけで友達がいないとわかるやつ」は彼女一人しか知らない。彼女はギャグ漫画に登場するようなコミカルなブスではなく、「現実のブスってこんな感じだよな」という顔の最上級クラスだった。顔色は粘土のように暗く、切り傷程度の大きさの目は濁り、鼻は壁に激突したかのように潰れ、腫ぼったい唇だけがやたらと主張をしていた。100人中100人がブスと評する顔面だろう。また、私が通っていた高校は私服制だったにもかかわらず毎日ブレザーの制服を着ていたのも異様だった。

 

私は彼女の顔面に気をとられるあまり、彼女がどんな本を読んでいるのか、そもそも本を読んでいたのかさえも覚えていないが、それでも彼女とは毎日図書館で会っていた。何か会話を交わしたりしたことはないので「会っていた」という言い方は適切ではないかもしれないが、私にとって彼女は志を同じくする頼れる先輩といったところだった。彼女を見れば自分はまだマシだと思えるので、そういった意味で「頼れる」のだった。多分私も周りからそう思われていたのだろう。

 

一度だけ、ドブスの彼女がクラスメイトと思しき女子と一緒にいるところを見たことがある。体育祭の前、ドブスを含めた女子3人で小むかでの練習をしていたのだ。見慣れないジャージを着た彼女は存外に楽しそうで、他の二人も決して嫌な顔はしていなかった。私はまず、ドブスが体育祭に参加しようとしていることに驚きを覚えた。私は3年間一度も体育祭に参加していない。友達のいないやつが体育祭に出るということはすなわち死を意味するからだ。となれば体育祭には出ないのが賢明かつ唯一の手段だと思っていたのだが、彼女はその試練に果敢にも立ち向かおうとしていた。私は悔しいような寂しいような、申し訳ないような気持ちを抱きながら図書室に向かった。ドブスのいない図書室はいつもより広く見えた。

 

そして時は流れ、いよいよ卒業式の日がやってきた。私は2年生でドブスは3年生、ナマズのような顔面も今日で見納めだ。卒業式は在校生は自由参加だったが、ドブスのラストダンスを見届けるためだけに私は参加を決意した。

ここで一つ説明しなければならないが、私が通っていた学校における最後の、そして最悪の悪弊として「卒業証書授与の時にその場にいる全員から名前を呼ばれる」というものがある。別に明確に定められたルールではないので全員と言うと大げさだが、一人一人壇上に上がって校長から卒業証書を受け取る際に、同じ卒業生たち、在校生、先生、果ては参列している父母にまで、ミュージシャンのライブのごとくに名前を叫ばれるのだ。私は1年生時に初めて卒業式を見物し、この風習を目の当たりにして戦慄した。友達が一人もいないという状況で名前を呼ばれようが呼ばれまいが嫌だし、仮に友達がいたとしてもこんな痛々しい祝福を素直に喜べるほど私は純朴ではない。しかし、それはドブスの彼女だって同じことを思っているはずだ。来年の自分の卒業式に備えるためにも、私はドブスから目が離せなかった。

 

いよいよ式が始まった。卒業生たちが、クラスごとに花道を通って体育館に入場する。ドブスは全5クラスある中の4組の出席番号1番だ。2組が入場し、3組が入場し、ついに4組がやってきた。プラカードを掲げた誘導係の生徒とクラスの担任の先生に続き、ついにドブスが姿を表す。晴れ着だ。ドブスは晴れ着を着ていた。嘘だろ。なんで晴れ着なんだ。

確かに卒業生の中には派手な晴れ着を着たり仮装じみた目立つ格好をしていたりする生徒もいたが、それは普段から活発な人や目立つ人がすることだ。普段着の生徒も多くいる中で、毎日図書室に入り浸っていた友達のいないドブスが晴れ着を着るなんてことは誰にも予想できなかっただろう。これがドブス本人の意思ならあまりに向こう見ずな判断だし、親などの第三者の意思だとしたらあまりに残酷すぎる。不安と期待が入り混じる中、私は恋に落ちたようにドブスを見つめ続けていた。

 

式はつつがなく進み、とうとう問題の卒業証書授与が始まった。やはり一人一人名前を叫ばれている。卒業生の大半にとって、こんなに大人数に大声で名前を呼ばれる経験など後にも先にもないものだろう。他人事と思って見れば、まさに晴れ舞台と呼ぶにふさわしい粋な計らいである。しかしだからこそ、ドブスの心境は察するに余りあるものであった。この晴れ舞台で、晴れ着に身を包んだ暗いドブスは祝福してもらえるのか?少年漫画顔負けのハラハラドキドキの展開である。

 

いよいよ4組の卒業証書授与が始まった。先にも書いた通りドブスは出席番号1番なので、早速壇上前の所定の位置につく。と同時に、アフリカの民族音楽のような奇妙な音楽が流れ出した。打ち鳴らされる打楽器と読経のような歌声に会場はざわめいているが、4組の担任はお構いなしにドブスの名を呼んだ。ざわめく会場。歩き出すドブス。鳴り響く奇妙な調べ。卒業証書を受け取るドブス。なおもざわめく会場。卒業証書を受け取り壇上から降りるドブス。太鼓と笛の音。ドブスの名は叫ばれずじまいだった。

 

何が起こったのか。その日、卒業証書授与の最中は各クラスごとにBGMが流れていた。他のクラスのBGMは普通のJ-POPやクラシック曲などだったのだが、なぜか4組の時は謎の民族音楽が流されたのだ。そしてドブスの存在は民族音楽の異質な存在感によって完全にかき消されてしまった。ドブスは晴れ着をもってしてなお、民族音楽に勝つことができなかった。晴れ着を着たドブスが民族音楽に負けたのである。こんなことがあっていいのだろうか。

 

出席番号2番以降の生徒は普通に名前を叫ばれていた。それは会場が民族音楽に慣れたからなのか、あるいはその生徒に普通に友達がいたからなのかは永遠の謎である。とにかく、結果から言えば、私が見届けた3年分3回の卒業式において、名前を叫ばれなかったのはドブスただ一人だった。

 

その卒業式はドブスの名前が叫ばれなかったことを除けば全てがあるべきように進み、一応は大成功という形で幕を閉じた。最後の校歌斉唱では涙を流している生徒も少なからずいた。だが、私はこの卒業式を通して一番泣きたかったのはドブスであったことを決して忘れはしない。ドブスで友達がいないという二重苦を抱えながら晴れ着で臨んだ晴れ舞台。しかしその勇気ある決断も一曲の民族音楽に打ち砕かれてしまう。それでもなお、ドブスは会場で涙を見せるような真似はしなかった。いつもと同じようないびつな顔で、濁った目で虚空を見つめていた。ドブスが何を考えていたのかはわからない。今にも泣き出しそうなのを必死で我慢していたのかもしれないし、案外何とも思っていなかったのかもしれない。ただ、そのどちらにせよ、私にはその時のドブスが誰よりも輝いて見えた。美しく見えたとはお世辞にも言えない。しかし、確かにドブスは輝いていた。

 

ドブスが学校を卒業し、私も学校を卒業した今となってはドブスがどこで何をしているのかは当然わからない。もう二度と会うこともないだろう。しかし、どこで何をしていようがドブスは飄々とうまくやっているに違いない。あれだけの経験を乗り越えたのだ、恐れるものなど何もない。私も彼女に負けないように強く生きていかねばなるまい。私は高校で一人も友達がいなかったが、その代わりに最高の人生の先輩を知ることができた。ドブスに幸あれ。いつか、あの晴れ着が本当に映えるその日まで。

 

VS.アナコンダ

 

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ケータイの写真フォルダにおいて、アナコンダを圧倒したいーーー。

 

現代人の抱える、振りはらい難い欲望の一つです。この「ケータイの写真フォルダにおいて、アナコンダを圧倒したい」という欲求は携帯電話の普及しはじめた2000年代前半頃から急激に人々の意識に根付きはじめ、現在では実に全携帯電話保有者の80%が意識・無意識を問わずこの欲求を抱えているといいます。MOTHER2のキャッチコピーといえば「大人も子供も、おねーさんも。」ですが、まさに「大人も子供も、おねーさんも」ケータイの写真フォルダにおいてアナコンダを圧倒したい世の中なのです。

 

かくいう筆者も多分に漏れず、ケータイの写真フォルダにおいてアナコンダを圧倒したい一人。今までは、このような直接的な表現は読者の方を不快な気分にしてしまうのではないか…と思って自粛してきたのですが、正直もう耐えられる気がしません。というわけで、今回の記事では私のケータイの写真フォルダとアナコンダを対決させてみました。こういうのが苦手な方はここでブラウザバックを推奨します。あとで苦情を言われても対応できないので。。。

 

 

 

 

さて、今この文章を読んでいるのはこのようなことに耐性あるいは興味関心、そして理解のある方だけだと思うので言ってしまいますが、この対決、正直かなり刺激的です。私自身も編集をしながら何度か体に変調をきたしかけたほどです。なので、こういったものを見慣れていて耐性があるという方も今一度気を引き締めてご覧になっていただければと思います。

 

長々とした前口上を失礼いたしました。それでは、私の戦いの記録をご覧ください!

 

 

 

 

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 第1試合

 

最初の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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第2試合 

 

次の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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第3試合

 

次の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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第4試合

 

次の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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第5試合

 

次の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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第6試合

 

次の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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対戦結果

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから

 

 

 

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最終試合

 

最後の挑戦者はこいつだ!

 

 

 

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(※駄目・・・とらのあなのビニール袋に1リットルのコーラのペットボトルが入っており、「このゴミは回収できません」という旨のステッカーが貼られている)

 

 

 

 

 

 

結果は・・・?

 

 

 

最後の最後に奇跡は起きるのか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

対戦結果

 

 

 

 

 

アナコンダの勝利!!

 

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勝因:アナコンダは獰猛だから。あと、駄目なものは駄目だから

 

 

 

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「ケータイの写真フォルダにおいて、アナコンダを圧倒したい 」…

 

それは無理な願いだ。大それた願いだ。神の怒りに触れて崩されたバベルの塔のようなものだ。

 

大いなるものは、そんな私の欲求を叶えさせてはくれなかった。いや、叶えさせなかっただけではなく、一度きりの挑戦(チャンス)と引き換えに、私を暗い地の底に閉じ込めてしまった。何も見えない。何も聞こえない。死ぬことすら許されない深い闇の中、彼らは私に反省を強いているのだろうか。そうであってほしいと切に願う。贖罪の権利すら奪われるのであれば、それは輪廻転生の輪から外されたということだ。存在するはずのないものが存在している。世界が歪む。ああ、ああーーーーーー。

 

 

「 ケータイの写真フォルダにおいて、アナコンダを圧倒したい」…そんなくだらない望みを追いかけてはいけない。私が言えることはそれだけだ。

 

 

 

青春アミーゴにカラムーチョのタイアップがつきました

青春アミーゴ 歌・修二と彰

 

鳴り響いた携帯電話 嫌な予感が胸をよぎる 

冷静になれよ ミ・アミーゴ

情けないぜ 助けてくれ 例の奴等に追われてるんだ               

もうダメかもしれない ミ・アミーゴ

 

2人を裂くように 電話が切れた

 

ヒー 俺達はいつでも2人で1つだった 地元じゃ負け知らず そうだろ

ヒー 俺達は昔からこの街に憧れて 信じて生きてきた

なぜだろう 思い出した景色は 旅立つ日の綺麗な空 抱きしめて

 

辿り着いた暗い路地裏 しゃがみこんだあいつがいた   

間に合わなかった ごめんな

やられちまった あの日交わした例の約束 守れないけど

お前が来てくれて 嬉しいよ

 

震える手の平を 強く握った

 

ヒー 俺達はあの頃 辿り着いたこの街 全てが手に入る気がした

ヒー 故郷を捨て去り でかい夢を追いかけ 笑って生きてきた

これからも 変わることない未来を 2人で追いかけられると夢見てた

 

ヒー 俺達はいつでも2人で1つだった 地元じゃ負け知らず そうだろ 

ヒー 俺達は昔からこの街に憧れて 信じて生きてきた  

なぜだろう 思い出した景色は 旅立つ日の綺麗な空 抱きしめて